インスタ依存が引き起こすメンタルに悪い理由とは?

「インスタを見ると、なんだか心が疲れる…」そんな声が、今じわじわと増えています。SNSが当たり前の時代に、なぜInstagramだけが“メンタルに悪い”と言われるのでしょうか?この記事では、海外の研究や他SNSとの違いをもとに、インスタ特有の心理的な影響を詳しく解説。また、年代別にどんな人がどんな影響を受けやすいのか、心を守るための具体的な対策や、世界の取り組みにも触れています。

目次

1. 導入

1-1. なぜ今「インスタがメンタルに悪い」が話題なのか?

インスタグラムは、今や誰もが使っているような人気のSNSですが、最近では「インスタがメンタルに悪い」という声が急増しています。
なぜこんなにも多くの人が、この話題に関心を寄せているのでしょうか?
それは、単なる「気のせい」ではなく、実際に精神的な健康への影響がデータとして明らかになってきたからです。
たとえば、イギリスの王立公衆衛生協会(Royal Society for Public Health)が発表した調査によると、若者の精神に悪影響を与えるSNSとして、インスタグラムは最も深刻であると指摘されています。
このような報告を受けて、「インスタって楽しいだけじゃないんだ」「私も気をつけなきゃ」と思い始めた人が増えているのです。
日常的に使うツールだからこそ、その影響力はとても大きく、今、改めて「心の健康」とSNSの関係性が問われているのです。

特に、中高生や20代の若者を中心に、インスタの使用がきっかけで自己否定や不安感が強まっているという声が寄せられています。
自分では気づかないうちに、心にじわじわと負荷をかけてしまっている。そんな無意識のダメージが問題視されているのです。

1-2. SNS時代の「心の不調」とその背景

私たちが暮らす現代は、いわば「SNSの時代」といっても過言ではありません。
朝起きてすぐ、寝る前まで、手の中のスマホで常に誰かと繋がっている感覚。
その中でも、インスタグラムは「キラキラした日常」や「理想的なライフスタイル」があふれている場所です。

でもね、それが逆に「心の負担」になっていることもあるのです。
「みんな楽しそう」「私にはそんな生活ない」「なんで私はうまくいかないんだろう」――そう感じたこと、ありませんか?
他人の充実した日常を眺めているうちに、どんどん自分とのギャップに目が向いてしまい、ついには「自分なんて…」と落ち込むことさえあります。

さらに、インスタは見た目や映えを重視する文化が根強く、加工された美しい写真ばかりが並びます。
その結果、「本当の自分」を否定してしまう気持ちが芽生えやすくなり、過剰なダイエットや整形への依存に繋がるケースもあるのです。

そして、寝る前にスマホを見続ける習慣も、深刻な影響を及ぼしています。
夜遅くまで画面を見ることで睡眠の質が下がり、心身ともに疲れてしまう。
睡眠不足はメンタル不調の最大の引き金になりやすく、気づかないうちに負のループに陥ってしまうのです。

さらに、「取り残される不安」(FoMO:Fear of Missing Out)に悩む人も少なくありません。
「今この瞬間も誰かが楽しんでるのに、自分は何もしていない」と感じてしまう。
このプレッシャーが毎日のように積み重なっていけば、心が疲れてしまうのも無理はありません。

もちろん、インスタがすべて悪いというわけではありません。
でも、うまく距離をとらなければ、私たちの心に深く影響を与えてしまうということは、知っておいて損はありません。
SNSとうまく付き合うためには、まず「心がどう感じているか」に目を向けてあげることが大切なのです。

2. インスタが他のSNSよりも“メンタルに悪い”とされる理由

この調査では、若者の心の健康とソーシャルメディアとの関係を調べたんですね。
その中で最もメンタルに悪影響を与えるSNSとして名指しされたのが、なんと「インスタグラム」でした。

なぜそんな結果が出たのかというと、いろいろな問題が重なっているからなんです。
たとえば、他人と自分を比べてしまうことによる自己否定感や、「自分も何か投稿しなきゃ」と感じる焦燥感が挙げられます。
さらに、インスタを1日2時間以上使う人は、使わない人に比べてメンタルヘルスに問題を抱える確率が高いとされているんです。

お友だちの楽しそうな写真を見るたびに、「なんで自分は…」と落ち込んだこと、ありませんか?
それは、インスタの中の「キラキラした世界」が、現実とは違っているからなんですよ。

2-2. インスタ特有の「視覚優位性」とその心理的影響

インスタは写真や動画などのビジュアルが中心のSNSですよね。
この「視覚優位性」が、じつは心に大きな影響を与えてしまうのです。

人は視覚からの情報に強く反応します。
特にインスタでは、みんなが「いいね!」をもらうために加工した写真映える瞬間ばかりを投稿しています。
その結果、「私はこんなに綺麗じゃない」とか、「自分の生活は地味すぎる」と、自己肯定感を下げてしまうんです。

そして怖いのは、「もっと綺麗にならなきゃ!」と強く思うあまり、過剰なダイエットや美容整形に走る人もいること。
もちろん、自分を良く見せたい気持ちは自然ですが、それが自分自身を否定することに繋がってしまうと、心のバランスが崩れてしまうかもしれません。

画面の向こうの誰かと比べて落ち込んでしまう。
それが、インスタの持つ「ビジュアル中心の怖さ」なんですね。

2-3. TikTok・X・Facebookとの違いとは?

他のSNSと比べたとき、なぜインスタが特にメンタルに悪いとされるのでしょうか?
TikTokやX(旧Twitter)、Facebookにもそれぞれ特徴がありますが、インスタの“見た目主義”は特に際立っています。

たとえばTikTokでは、ダンスやユーモア動画など「動き」や「音」の要素が多くて、比較的エンタメ寄り。
Xは言葉が中心なので、議論や情報収集に向いていますし、Facebookはリアルな人間関係がベースなので、投稿も比較的落ち着いた印象です。

でもインスタは、「理想的な姿」や「華やかな生活」の演出が中心。
それが、見る側にとって「自分には無理かも…」という無力感や、「見られている」というプレッシャーを生みやすくしてしまうんです。

そして、他のSNSよりも「見逃したら損をするかも!」という取り残される不安(FoMO)が強くなりやすいとも言われています。
「みんなの最新の投稿をチェックしなきゃ…」というプレッシャーが、日常の集中力や幸福感を奪ってしまう。
それが、インスタが他のSNSよりメンタルに悪いとされる決定的な理由なんです。

3. インスタがメンタルに与える具体的な悪影響10選

3-1. 常に「誰かと比べてしまう」比較思考の罠

インスタを開くと、すぐに他人のキラキラした日常が目に飛び込んできますね。
旅行先での笑顔、ブランド服、素敵な彼氏や彼女とのツーショット……。
でも、それって本当にその人の「日常」でしょうか?
実は多くの投稿が、演出された一瞬だけを切り取ったものなんです。
でも私たちは、それを知らずに「なんで自分はこうじゃないの?」と、比べてしまいます。
この「比較思考」は、自己肯定感を削り、劣等感や焦りを呼び込んでしまうのです。
イギリスのRSPHの報告では、SNSを2時間以上使う人ほどメンタルの健康が悪化しやすいとされています。
つまり、無意識のうちに「比べ続ける日々」が、私たちの心をジワジワ蝕んでいくのです。

3-2. 非現実的な投稿により生じる「劣等感」と自己否定

インスタでは、日常のつまらない瞬間よりも、楽しくて特別な出来事ばかりが投稿されます。
それが連続して目に入ると、普通の自分の生活が「しょぼく」見えてしまうこともあります。
「私は何もしていない」「周りは充実してるのに、自分だけ何も進んでいない」。
そんな風に感じてしまうのは、投稿内容が現実以上に盛られているからなんです。
でも、忘れないでください。
インスタは「理想の姿」を演出する場所
そこに映るのは、編集された物語です。
それと「ありのままの自分」を比べてしまえば、自己否定のループに入り込んでしまいます。

3-3. 顔・体型加工による「容姿コンプレックス」の悪化

今のインスタは、顔も体型も簡単に加工できるアプリとセットになっています。
細いウエスト、大きな目、高い鼻──加工された美のテンプレートが、私たちの「普通」の基準を変えてしまうのです。
そうなると、自分の素の顔や体を見たときに、がっかりしてしまう。
「どうせ私は可愛くない」「もっと整形したい」といった思考になりがちです。
これが進むと、極端なダイエットや整形依存など、身体にも心にも悪影響が出てきます。
美しさには多様性があるはずなのに、「同じような顔」ばかりを見ていると、自分の魅力に気づけなくなってしまうのです。

3-4. 「取り残される不安(FoMO)」が日常化

「フォモ(FoMO)」って聞いたことがありますか?
「Fear of Missing Out」=取り残されることへの不安のことです。
インスタをやめようと思っても、「みんなが何してるか分からなくなる」「話題に置いていかれるかも」。
そんな気持ちがわいてきませんか?
この不安があると、ついついインスタを開いてしまいます。
でもそれは常にチェックしないといけないというプレッシャーになって、日常の集中力を奪ってしまいます。
本当は、今この瞬間を大切にするほうが、ずっと心が落ち着くのにね。

3-5. 「いいね数」や「フォロワー数」で測る自己価値

「いいね、増えるかな?」「フォロワー減ってない?」。
そんなふうに、他人の反応ばかり気にしていませんか?
インスタは「数字で人気が可視化される仕組み」があるので、評価を気にせずにはいられません。
そしてそれが、自分の価値そのもののように思えてくるのです。
でも、他人の評価でしか自分を見れなくなると、いつも不安がつきまといます。
本当の自分の価値は、フォロワー数や「いいね」では決まりません
自分らしくいられることこそが、いちばん大切なんですよ。

3-6. 寝不足を招く「スマホ依存」×「睡眠障害」

寝る前にインスタをチェックする癖、ありませんか?
それ、実は「眠れなくなる脳」を作ってしまう原因なんです。
スマホのブルーライトは、眠りを誘うメラトニンの分泌を妨げることが知られています。
さらに、インスタで刺激的な投稿を見続けると、脳が興奮して寝つきが悪くなります。
RSPHの調査でも、SNSの使用増加が睡眠の質に大きく関係していると指摘されています。
睡眠はメンタルの回復に欠かせない大切な時間です。
それが削られることで、心も体も不調になりやすくなるのです。

3-7. 誹謗中傷・ネットいじめによる心的外傷

インスタには、顔も名前も知らない人からのコメントが届くことがあります。
そこに悪意ある言葉や、傷つく内容が含まれていたら──どうでしょう。
実際、2021年の日本の調査では、ネットいじめの件数が2万件を超え、過去最多を記録しました。
インスタなどのSNSでは、現実世界と違って、いじめが24時間続く可能性があります。
被害者の心に深い傷を残し、学校に行けなくなったり、人と関わること自体が怖くなることもあるのです。
誰にも見えない場所で、静かに傷ついている人がいる。
そんな危険が、インスタには潜んでいることを忘れてはいけません。

3-8. 他人の成功・リア充投稿による「虚無感」や「焦燥」

「あの人、仕事でもプライベートでも順調そう……」
そんな投稿を見て、うらやましくなったことはありませんか?
インスタは、他人の「成功」や「幸せ」を、短時間でたくさん見せてきます。
でもそれが積もると、「自分は何をしてるんだろう?」と、虚しくなってしまう。
何も手につかない、焦るばかりで心が空っぽ
それは、刺激の多すぎるインスタの影響かもしれません。
本当の人生は、人それぞれのペースがあって当たり前です。
でも、インスタはそのバランスを壊してしまうことがあるんです。

3-9. SNS映えへの執着が引き起こす「現実乖離」

「この料理、インスタ映えしそう!」「ここ行ったらストーリーに上げよ!」
そんな風に、日常が「映えるかどうか」で選ばれていませんか?
それって「現実を楽しむ」ことよりも、「見せること」を優先してるってことなんです。
そうなると、目の前の大切な時間をスルーしてしまったり、自分の感情に鈍感になったりします。
「映え」のために無理をする暮らしは、どこかで心のバランスを崩してしまうんですね。
本当に大切なのは、写真じゃなくて、自分がどう感じるかなんですよ。

3-10. 「通知疲れ」や情報過多によるストレスの蓄積

ピロン、ピロンと、絶えず鳴る通知音。
インスタを開けば、DM、コメント、タグ付け、フォロワー通知……。
情報が多すぎて、頭が休まる時間がないって感じたこと、ありませんか?
脳は、休む時間がないとストレスをどんどん溜めていきます。
しかも、「見逃したくない」という気持ちがさらに心を疲れさせる。
インスタは、刺激の洪水のような世界なんです。
たまには通知をオフにして、デジタルから距離を置くことも必要ですね。

4. 年代・属性別:誰がどんな影響を受けやすいのか?

4-1. 10代女性:自己肯定感の崩壊と摂食障害

10代の女の子たちは、特にインスタグラムの「理想的な美しさ」の影響を強く受けやすい傾向があります。

多くの投稿では、加工された顔やスリムな体型が並び、まるでそれが「当たり前」であるかのように見えてしまいます。

こうした投稿を日々目にすることで、自分の容姿と比べてしまい、「私は全然かわいくない」「もっと痩せなきゃ」という自己否定の感情にとらわれる子が少なくありません。

実際、過剰なダイエットを始めたり、摂食障害を抱えてしまう10代の女性は年々増えており、インスタの過剰なビジュアル重視文化がその背景にあるとされています。

さらに、こうした傾向は自己肯定感の崩壊を引き起こしやすく、「何をしてもダメ」「自分には価値がない」と思い込み、学校生活や人間関係にも影を落とします。

4-2. 20〜30代社会人:キャリア比較と承認欲求

20〜30代の働く世代にとって、インスタは他人の成功や華やかな生活が見えてしまうツールです。

同世代の人が「昇進しました!」「世界を飛び回ってます!」といった投稿をしていると、「自分はまだ何も成し遂げていない」と感じる人は少なくありません。

特に、仕事に打ち込む時期でもあるこの年代では、キャリアや年収、ライフスタイルをSNS上で比較してしまう傾向が強く、「自分も何か発信しなきゃ」「もっと認められたい」と承認欲求が過剰に膨らんでいきます。

しかし、現実とのギャップに苦しみ、自己嫌悪や不安感を抱えてしまうケースも多いのです。

この見えない競争が、長期的なストレスやうつ状態につながるリスクもあるため、特に注意が必要です。

4-3. 子育て世代:ママ垢・育児アカの“理想像”による圧迫感

育児中のママたちがフォローしやすいのが、いわゆる「ママ垢」「育児アカ」と呼ばれるアカウントです。

そこには、手作りの離乳食やオシャレなインテリア、完璧な育児スケジュールが投稿されており、「これが理想的な母親の姿」と錯覚してしまうことがあります。

しかし実際には、ほとんどが一瞬を切り取った演出であり、全てが完璧なわけではありません。

それでも、「私はこんなふうにできてない」「毎日怒ってばかり…」と自己嫌悪や無力感を覚え、精神的に追い詰められるママも多いのです。

とくに初めての子育てでは、正解がわからない不安と向き合っている中で、「他のママたちはこんなにうまくやっているのに」という圧迫感が、心の負担をさらに大きくしてしまいます。

4-4. シニア世代:孤独と疎外感の増幅

意外に思われるかもしれませんが、シニア世代もインスタの影響を大きく受けています

定年退職や子どもの自立によって社会的な接点が減っていく中で、「最近みんな何してるのかな?」とインスタを始める人が増えています。

しかし、そこで目にするのは、キラキラした生活や家族団らんの写真。

「自分にはもうそんな時間はない」「誰からも必要とされていない」と感じてしまうことで、孤独感や疎外感が強まってしまいます。

とくに友人との関係が薄れていたり、家族との関わりが希薄な場合は、SNSが精神的な空白をさらに広げる要因になってしまうのです。

年齢を重ねるほど、自分の立場や役割が変化しやすいため、SNSによる比較が思いがけないストレスになることも忘れてはいけません。

5. メンタルへの影響を受けやすい“使い方”と“性格傾向”

5-1. 「1日2時間以上使用」するヘビーユーザーのリスク

インスタを1日2時間以上使っている人は、メンタルに不調をきたしやすいと指摘されています。
特に若年層を対象としたイギリスの調査では、「1日あたり2時間以上ソーシャルメディアに費やすことで、抑うつ・不安のリスクが増す」と明記されています。
この時間は、学校や仕事の合間、あるいは寝る前など、すき間時間を寄せ集めた結果なのですが、実はそれが危険なんです。
人は他人の楽しそうな投稿や「いいね!」の数に触れるたびに、無意識のうちに自分と比較してしまいます。
その積み重ねが、「自分は何も成し遂げていない」「友達がいないのかも」といった劣等感や孤独感を生み出す原因になります。
しかも、インスタの投稿はリアルな現実ではなく、加工や演出を重ねた“理想の姿”ばかり。
そこに何時間も浸かっていると、現実の自分がどんどん色あせて見えてしまうのです。
情報の洪水に長時間さらされることが、心をむしばんでいく。
これは小さな子どもが寝る前に怖い話を聞いて眠れなくなるのと同じで、使い方ひとつで心の健康が左右されてしまうのです。

5-2. HSP(繊細さん)にとってのインスタの毒性

HSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる、感受性の高い人たちにとって、インスタはかなり刺激が強い場所です。
なぜなら、インスタは視覚的な情報にあふれており、美しい写真、楽しそうな動画、キラキラした日常が次々と流れてくるから。
HSPの人は、そうした情報に強く反応し、「あの人はこんなに幸せそうなのに、私は…」と自分を追い込んでしまいやすいのです。
また、HSPの人は人間関係にも敏感なので、誰かのストーリーに「いいね」をし忘れた、コメントを返さなかった、など些細なことでも罪悪感や不安を抱えがち
それがストレスとなり、SNSを見ること自体が苦痛に感じてしまうケースも少なくありません。
さらに、HSPの人は「相手の感情を読み取る力が高い」とも言われています。
つまり、たとえ投稿者が表面的に笑顔でも、その裏にある“疲れ”や“無理している感”を感じ取ってしまい、心に深く刺さるのです。
本来は優しさでできているHSPの気質が、インスタの世界では裏目に出てしまう。
これではメンタルをすり減らすのも無理はありません。

5-3. フォロワー数・バズりに依存する“承認欲求型ユーザー”

インスタの「いいね」やフォロワー数に強くこだわってしまう“承認欲求型ユーザー”も、メンタル面ではかなりのリスクを抱えています。
たとえば、自分が投稿した写真があまり「バズらなかった」とき、「やっぱり私は魅力がないんだ」と落ち込んだり、フォロワーが減るだけで一日中モヤモヤしてしまう…そんな経験、ありませんか?
これは脳の報酬系と呼ばれる仕組みが関係していて、SNSで得られる「いいね」はまるでご褒美のように感じられるのです。
でも、そのご褒美がもらえなかったとき、心は空っぽのまま。
しかも、「次こそはもっとバズらせよう」と過激な投稿や無理なキャラ作りをしてしまうこともあります。
これが習慣化すると、自分自身を見失い、常に「人からどう見られているか」ばかりを気にするようになります。
そして最終的には、承認されなければ存在価値がないという思い込みに支配されてしまうのです。
これは大人でも辛いのに、もし10代の子どもや学生がこの状態に陥ったらと思うと、心配になってしまいますよね。

6. どうすれば心を守れる?健全な使い方と対策

「インスタを見ると、なんだか心がザワザワする…」そんなふうに感じたことはありませんか?実はそれ、気のせいじゃないかもしれません。でも大丈夫。きちんと心を守る方法を知っていれば、インスタともうまく付き合うことができます。ここでは、心の健康を保ちながらインスタを使うためのヒントを、5つのステップで紹介します。

6-1. まずは「スクリーンタイムの可視化」から

「インスタ、何時間も見ちゃった…」と思ったことはありませんか?気づけば時間が消えていた、というのはとてもよくあることなんです。でも、まずはその時間を“見える化”することが大切です。

スマートフォンには「スクリーンタイム」や「デジタルウェルビーイング」という機能があります。これを使えば、1日にどれくらいの時間をSNSに使っているのかがわかります。例えば、イギリスの研究ではSNSを1日2時間以上使っている人は、メンタルヘルスに悪影響が出る傾向があると報告されています。もしも自分がそのくらい使っていたら、ちょっと見直してみましょうね。

6-2. 加工写真の真実を見抜くメディアリテラシー

「みんなキラキラしてて、自分だけ取り残された気分…」と思うこと、ありませんか?でもね、それって“現実じゃない理想の姿”が多く混じってるんです。

インスタグラムでは、写真の加工はとても当たり前のことになっています。細く見せたり、肌をつるつるにしたり、まるで別人のようになることも簡単です。でも、それを見て「自分はダメだ」と思ってしまうと、心がつらくなってしまいますよね。

だからこそ、「これは本当の姿じゃないかも」と気づく力=メディアリテラシーが大切なんです。加工がある前提で見るようにすると、気持ちが少し楽になりますよ。

6-3. 「SNSから離れる時間」をつくるコツ(デジタルデトックス)

ずっとSNSを見ていると、脳も心も疲れてしまいます。特に、寝る前にインスタを見てしまうと、睡眠の質がガクッと落ちてしまうんです。寝る前の1時間は、スマホを置いてみる。これだけでも、心のリセットになりますよ。

「デジタルデトックス」って、ちょっと難しそうに聞こえるけど、やり方は簡単です。たとえば、電波の届かない山や公園に出かけてみたり、スマホを家族に預けてみたりするだけでOK。週に1回でも、数時間でも良いので、スマホから離れる時間を持つこと。それが、自分の心を守る第一歩になります。

6-4. アカウントの削除・休止を選ぶ判断基準

「どうしてもインスタを見ると苦しくなる…」そんなときは、無理をせずにアカウントの休止や削除を検討しても大丈夫。誰かに許可をもらう必要はありません。「自分の心がしんどい」と感じたら、それはもう十分な理由です。

実際に、SNSから離れた人の中には「やめたら心が軽くなった」という声もたくさんあります。SNSって、付き合い方が難しい場所でもあるので、距離を取ることは勇気ある選択なんです。

ポイントは、「完全にやめなきゃ!」と思いつめないこと。一時的に休むだけでも、効果はちゃんとあります

6-5. 心が限界のときに相談すべき専門機関とは?

「もう無理かも…」と感じたときは、必ず誰かに相談してください。一人で抱え込まないでね。

学校のカウンセラー、保健室の先生、家族や信頼できる友達など、話せる相手はたくさんいます。でも、それでもつらいときは専門の医療機関に相談することが大切です。

心療内科やメンタルクリニックでは、あなたの気持ちに寄り添ってくれる先生たちがいます。「病院に行くなんて大げさかな?」と思わなくて大丈夫。心の病は風邪と同じで、早めのケアが一番なんです。

いまは、SNS疲れに悩む人向けの専門外来や支援団体もあります。厚生労働省の「こころの耳」や「よりそいホットライン」など、電話やチャットで相談できる窓口もありますよ。

6-6 まとめ

インスタが心に与える影響は、気づかないうちに積み重なっていきます。でも、きちんと対策をすれば、心を守りながら使うことはできるんです。

時間を見える化すること。写真の加工を見抜く力をつけること。スマホから離れる時間をつくること。つらいときは無理せずアカウントを手放すこと。そして、限界を感じたら専門家に相談すること。

この5つのステップを意識するだけで、インスタとの関係がぐっと健やかになりますよ。あなたの心が、いつもやさしく、のびのびとしていられますように。

7. 世界ではどう対応している?海外の最新事例

7-1. Instagramの「いいね数非表示」機能とその効果

Instagramは2019年ごろから、投稿の「いいね数を非表示にする機能」を一部の国でテスト導入し、その後、全世界に展開しました。
この取り組みの背景には、「他人と比べて落ち込んでしまう人を減らしたい」という強い想いがありました。
実際に、若年層を中心に「自分の投稿が他人よりも注目されていない」と感じて自己肯定感を失ってしまう人が増えていたのです。

この非表示機能では、「他の人が自分の投稿に何件いいねしているか」が見えなくなります。
ユーザーは自分自身のいいね数は確認できますが、フォロワーには見せない設定が可能となっているため、「他人と比べないSNSの使い方」を選択できるようになったのです。

カナダのトロント大学が行った調査では、この機能を使用したグループでは「他人の評価に左右される度合いが下がった」との結果が報告されています。
また、同様の取り組みはTikTokやFacebookにも広がっており、SNS業界全体でメンタルヘルスへの配慮が進んでいるのが現状です。

7-2. フィンランドや英国の「SNS教育」プログラム

フィンランドやイギリスでは、学校教育の中でSNSリテラシーを育てる取り組みが進んでいます。
たとえばフィンランドでは、10代の生徒たちに「SNS上の情報をどう見極めるか」や「投稿が人に与える影響」について、ワークショップ形式で教える授業が行われています。

特に印象的なのは、児童や生徒自身が「SNSで嫌な気持ちになった体験」を共有し、クラス全体でその問題点と対処法を話し合う時間があること。
このように、感情と向き合う力や自分の限界を理解する力を育てる教育が中心になっているのです。

一方、イギリスでも王立公衆衛生協会(RSPH)が中心となって、学校に対して「デジタルヘルス教育」のカリキュラム導入を推進しています。
その中では、「SNSを1日2時間以上使うと心の健康に悪影響が出る」という具体的なデータが紹介され、子どもたち自身が使用時間を管理する力を育むよう支援されています。

7-3. メンタルを守るためのAIアルゴリズム開発の動き

最近では、SNS企業自体が「アルゴリズムの設計そのもの」に手を入れ始めています。
Instagramを運営するMeta社は、ユーザーのメンタルヘルスに配慮するために、「ネガティブなコンテンツを避ける表示ロジック」「SNSの使い過ぎを警告するAI機能」の開発に着手しています。

たとえば、夜間にスクロールを続けていると「そろそろ休みましょう」と通知される機能や、加工された写真に「これは加工画像です」と注釈がつくシステムなどが検討されています。
これは、特に若者の自己否定感を減らすために重要とされています。

また、AIによって投稿内容の傾向から「ストレスやうつの兆候」を早期に検知し、必要に応じて専門機関への相談を促す仕組みの開発も進んでいます。
こうした技術が一般ユーザーに実装されることで、SNSは「心に優しいプラットフォーム」に少しずつ進化しているのです。

7-4. まとめ

世界では、インスタグラムをはじめとしたSNSの「メンタルへの影響」を正面から受け止める取り組みが着実に進んでいます。
「いいね数の非表示」や「SNSリテラシー教育」、そしてAIによるメンタルサポート技術の開発など、技術面と教育面の両方から改善が図られているのです。

もちろん、完璧な解決策はまだありませんが、こうした世界の動きは、私たち一人ひとりが「SNSとの上手な付き合い方」を考えるヒントになります。
これからの時代、SNSは「楽しむもの」から「選び取るもの」へと変わっていくのかもしれませんね。

8. まとめ

8-1. 「SNS時代に自分の心を守る」ために今できること

SNS、とくにインスタグラムのようなビジュアル主体のプラットフォームは、一見すると楽しく華やかで、自分もそこに混ざりたくなるような世界が広がっています。でも、その裏で、知らず知らずのうちに自分の心が削られていくことがあるんです。

たとえば、インスタで友達のリア充投稿を見て「なんで自分はこんなに地味なんだろう…」って落ち込んだこと、ありませんか?あるいは、深夜までスマホを見続けて気づいたら寝不足…そんな日が続いたりして。

インスタがメンタルに悪いとされるのにはちゃんと理由があります。他人と比べて落ち込んだり、過剰に加工された「理想の見た目」に引け目を感じたり、ネットいじめや「取り残される恐怖(FoMO)」に怯えることも。実際に、英国の調査では若者の心の健康に最も悪影響を与えるSNSはインスタとSnapchatだと指摘されています。

だからこそ、これからの時代に必要なのは「使い方をコントロールする力」です。インスタから完全に離れるのが難しくても、デジタルデトックスをしてみたり、リアルな人間関係に目を向けることがとても大切になります。

自分を守るために今日からできることは、使う時間を意識的に減らすこと。そして、疲れたときにはスマホを手放し、心が休まる場所に身を置いてみてください。

8-2. 使うか、離れるかは“自分の心”が決めること

インスタを使い続けるか、それとも距離を置くか。この選択は、誰かに言われて決めることではありません。あなたの心がどう感じているかが一番大事なんです。

もし、最近「見るたびに気が重くなる」「なんだか疲れる」と感じるようなら、それは心が「ちょっと休ませて」とサインを出している証拠かもしれません。

実際に、心が壊れる前にインスタから離れる方法としては、アカウント削除、スマホの預け先を決める、自然の中で過ごす、趣味に没頭する…など、いろんなやり方があります。どれも難しく感じるかもしれないけれど、大丈夫。小さな一歩を踏み出すことが、一番の近道になります。

そして、インスタのようなSNSは、本来は「楽しむためのもの」だったはず。それが苦しみに変わってしまうのなら、無理に付き合う必要なんてありません。どんなに周りが楽しそうでも、自分の心を一番に考える勇気を持ってくださいね。

「やめなきゃ」と自分を責めるのではなく、「今の自分にとってどうするのが一番いいのか?」を、そっと問いかけてみましょう。そして、あなたが心からホッとできる選択をしてください。