英語の多読が効果なしと言われる理由とは?失敗しないためのポイント

「英語多読をしているのに、全然効果を感じられない…」そんなふうに感じていませんか?実は、その悩みを抱えているのはあなただけではありません。多読には確かに効果がありますが、「読むだけ」では結果が出にくいのも事実です。この記事では、多読で効果を感じられない人に共通するパターンや、多読の誤解、正しいやり方をわかりやすく解説します。

目次

1. はじめに:「多読が効果なし」と感じたあなたへ

「英語の本をたくさん読んでいるのに、思ったほど英語力が伸びない」。
そんなふうに感じて、がっかりした経験はありませんか?
実はそれ、あなただけではありません。多読にチャレンジした人の多くが、一度は同じ壁にぶつかっています。

英語の多読は確かに効果的な学習法のひとつですが、正しい方法で継続しなければ効果が出ないどころか、「時間の無駄だった」とさえ思えてしまうことがあります。
だからこそ、今感じている「効果なし」という感覚は、間違った学びのサインとも言えるのです。

この記事では、「多読が効果なしに感じる理由」と「どうすれば効果を実感できるようになるか」を、具体的なデータや事例を交えて丁寧にお伝えしていきます。
ひとりでモヤモヤと悩まず、ここで一度立ち止まって、あなたの学習法を見直すきっかけにしてみてください。

1-1. 「多読しても英語力が上がらない…」と感じる人が多い理由

まず知っておいてほしいのは、「多読に効果がない」のではなく、“効果が出にくいやり方”で多読をしている人が非常に多いということです。
次のような特徴に心当たりはありませんか?

  • 読んでいる英文の50%以上の内容が理解できない
  • 難しすぎる洋書を選んでしまっている
  • 読む量が極端に少ない(例:2冊程度)

このような状況では、英語力を高めるどころか、英語学習そのものが苦痛になってしまうこともあります。
たとえば、内容の半分も理解できないまま先に進んでも、学習効果はほとんど得られません。
その場合は、語彙や文法といった基礎力を先に強化する必要があります。

また、「ラダーシリーズ」のように、自分のレベルより少しだけやさしい本を選ぶことが大切です。
TOEICスコアを参考にすると、たとえばスコア400点台の方なら、ラダーシリーズのレベル3(TOEIC400点以上推奨)あたりが適正レベルといえるでしょう。

加えて、多読とは「多く読む」こと。洋書を2~3冊読んだ程度では、多読とは呼べません。
実際、ある学習者の例では、2ヵ月間で30冊・約100万語を読破し、明らかな読解スピードの向上を実感しています。

つまり、「効果がない」と感じる多くの人は、やり方・選び方・量のいずれか、あるいは全てに課題があることが多いのです。

1-2. この記事の目的と構成|誤解を解き、再スタートを切るために

この記事の目的は、あなたが感じている「多読の効果がない」という疑問に対して、正しい知識と実践的なアドバイスをお伝えすることにあります。
「多読なんて無駄だった」とあきらめる前に、一緒に正しい方法を学び直し、再スタートを切りましょう。

このあと、記事では以下の3つの柱で話を進めていきます。

  1. 「多読の効果」とは何かを具体的に理解する
  2. なぜ効果が出ないのか、その原因を明確にする
  3. 効果が出る多読のやり方を実例とともに紹介する

特に、「英語を英語のまま理解する力」「返り読みが減る」「前後の文脈から意味を推測する力」など、多読がもたらす3つの重要な効果については詳しく解説します。
また、夏目漱石が明治時代から推奨していた多読の考え方も取り上げながら、多読の本質的な価値についても触れていきます。

一度つまずいたからといって、多読をやめる必要はありません。
正しい手順と継続力があれば、誰でも多読の効果を実感することができます。
それでは、次のセクションから、具体的な多読の効果と「なぜうまくいかないのか」について、詳しく見ていきましょう。

2. 英語多読に「効果なし」と感じる典型パターンとは?

英語の多読に挑戦してみたけれど、「思ったより伸びない」「効果が感じられない」とモヤモヤしている人は少なくありません。

実は、間違った方法で多読を続けていると、どれだけ頑張っても成果は出にくいのです。

ここでは、英語多読で「効果なし」と感じる人によくある失敗パターンを詳しく解説します。

2-1. 効果が出ない人の共通点をチェック

多読で効果を感じにくい人たちには、いくつかの共通した特徴があります。

たとえば、読む量が極端に少なかったり、レベルが高すぎる本を選んでいたり。

「多読はとにかく読むだけでOK」と思い込んでしまうのも要注意です。

「読むだけ」では英語力は伸びません。

では、次に具体的な失敗パターンを見ていきましょう。

2-2. 読書量が圧倒的に少ない(例:月2〜3冊)

「多読」という名前がついている通り、読む量の多さが大前提になります。

月に2〜3冊程度では、英語力を伸ばすには不十分です。

実際に効果が出ている人の中には、1ヶ月で30冊、合計100万語を読んだという例もあります。

「とりあえず2冊読んだから、もう十分だろう」と感じてしまうのは自然なことですが、それは準備運動程度の読書量だと考えてください。

2-3. 理解できないレベルの教材を読んでいる

「どうせ読むなら難しい本を」と、TOEIC800点レベルの教材を手にしていませんか?

この選び方は、多読においては大きな落とし穴です。

理解度が50%以下の本を読んでも、内容はほとんど頭に入ってきません。

このような状態で読み続けても、学習効果は薄く、時間だけが過ぎてしまいます。

基本的には、7割以上の理解ができる本を選ぶことが、継続と成長のカギです。

2-4. 興味のないジャンルで続かない

多読は長期戦です。

そのため、興味のないジャンルを選んでしまうと、途中で挫折しやすくなります。

たとえば、恋愛小説にまったく興味がないのに「英語学習にいいらしいから」と読んでいては、内容も頭に入りませんし、楽しめません。

映画やゲーム、小説など、自分が好きなジャンルから始めることが、継続のコツです。

2-5. 読むだけで復習・アウトプットを一切していない

多読では、「読む」ことに偏りすぎてしまう人もいます。

しかし、読むだけでは語彙は定着しにくく、英語力も伸び悩みます。

読んだ内容を日記にまとめる、SNSに投稿する、単語をフラッシュカードで復習するなど、軽いアウトプットや復習を取り入れることで記憶の定着率が格段に上がります。

2-6. 「学習」としての意識が薄い=惰性で読んでしまう

「毎日英語を読む」という習慣は素晴らしいですが、ただページをめくっているだけでは効果は期待できません。

読んでいて「この表現、使えるな」「この単語は見たことあるぞ」と意識的に学習する姿勢が重要です。

同じ30分でも、集中して読むか、ぼんやりと読むかで吸収できる情報は大きく違います。

2-7. 「精読」と「多読」を混同している

英語学習における「精読」と「多読」はまったくの別物です。

精読は、文法や単語を細かく確認しながら丁寧に読むスタイル。

一方、多読はスピードと量を意識しながら、わからない部分は多少飛ばしても前に進むスタイルです。

この2つを混同してしまうと、どちらの効果も得られません。

特に多読においては、完璧主義は逆効果

分からない表現があっても立ち止まらずに読み進める柔軟さが求められます。

3. 誤解しやすい「多読=読むだけで英語力が上がる」という幻想

英語の多読は「とにかくたくさん読めば英語ができるようになる」というイメージを持たれがちですが、それは大きな誤解です。

実際、多読を始めたものの「思ったより効果がない」「読んでいるだけで身についている感じがしない」と挫折してしまう人は少なくありません。

この章では、なぜ多読に効果が感じられないのか、多読の本質とその前提条件について丁寧に解説します。

3-1. 多読は魔法の学習法ではない|必要な前提条件とは?

英語学習における多読は、あくまで手段であって万能の解決策ではありません

たとえば、ある英語学習者が英検4級相当の語彙力しかない状態で『ハリーポッター』の原書を読もうとしたとします。当然ながら、知らない単語だらけで半分も意味が取れず、結局「なんとなく雰囲気だけ」で読み進めることになります。

このような状態では、いくら量をこなしても「英語を英語のまま理解する」回路は育ちません。

実際に効果的な多読を行うためには、最低限の単語力・文法力が前提になります。

競合記事でも、「7割以上理解できる本を選ぶこと」「基礎文法・語彙を先に身につけること」が明確に述べられています。

具体的には、TOEICで300点以上を取れる程度の語彙力を持っていれば、ラダーシリーズのレベル1から始めるのが良いとされています。

つまり、「多読=読むだけで自然に英語力が上がる」と思い込んで始めると、かえって時間を無駄にする結果になる可能性が高いのです。

3-2. 多読に即効性を求めると挫折する理由

英語多読の効果は、すぐには見えません

これは、スポーツで筋トレをしても数日では筋肉がつかないのと同じことです。

競合記事では、「洋書100万語を2か月で読破」「30冊で246時間57分」という具体例が紹介されています。これほどの時間をかけて初めて「読むスピードが上がった」「返り読みが減った」といった実感が湧くのです。

逆に言えば、数冊読んだ程度では何も変わらなくて当たり前です。

「2冊読んだけど効果を感じない…」と落ち込むのは、筋トレを3日して腹筋が割れないと嘆くようなものです。

多読は積み重ねの学習法です。焦って効果を求めず、長期的な視点でじっくり取り組むことが求められます。

3-3. 精読・単語学習と併用してこそ効果が出る

効果的な多読の実現には、多読だけではなく、精読や単語学習の併用が不可欠です。

多読の良さは「英語に慣れること」「長文への抵抗をなくすこと」にありますが、語彙や文法の知識を広げることには向いていません。

たとえば、英文を読んでいて「文の構造がわからない」「この単語は見たことあるけど意味があやふや」という状態では、読んでも内容が頭に入ってきません

競合記事でも「まず基礎英語力を身につけるべき」「文法や単語の勉強を先に」と明言されています。

つまり、精読で文法構造をしっかり把握し、単語帳などで語彙力を高めた上で、初めて多読が機能するのです。

また、精読によって「この文型はこういう意味なんだ」と理解できるようになれば、多読時にも同様の文型がすっと頭に入ってくるようになります。

この相乗効果が、多読を「効果がある」と実感できる学習法へと変えてくれるのです。

多読を正しく活用するためには、「読むだけ」ではなく、総合的な学習の一部として位置づける視点が大切です。

4. 英語多読で得られる“正しい”効果とは?

「英語の多読って本当に効果があるの?」と疑問に感じる方は多いかもしれません。

実際に、やり方を間違えると「効果なし」と感じてしまうのも事実です。

しかし、正しい方法で継続すれば、英語多読は多くの面であなたの英語力に“静かに、でも確実に”変化をもたらしてくれます。

ここでは、英語多読で得られる5つの代表的な効果について、具体例を交えて詳しく説明します。

4-1. 「読むスピード」が劇的に上がる

英語多読を続けることでまず実感しやすい効果が、英文を読むスピードの向上です。

ここで重要なのは、ただ目を速く動かすことではなく、「理解するスピード」が上がるという点。

つまり、意味を取りながら速く読めるようになるということです。

これは、日本語に訳すプロセスが減ることと、返り読みの回数が減ることによって実現します。

例えば、TOEICのPart7(長文読解)では時間との戦いになりますが、多読を重ねることで「読んでいてつっかえない」感覚が身につき、問題を解くスピードが明らかにアップします。

4-2. 英語を日本語に訳さず理解できるようになる(直読直解)

英語を日本語に一語一語訳さずに、そのまま理解できる力——これが直読直解です。

たとえば「She has been waiting for the bus for 20 minutes.」という文を読んだとき、「彼女はバスを20分間待っている」と日本語に変換するのではなく、映像としてイメージが浮かぶようになります。

この感覚は、繰り返し多読をおこなうことでしか身につきません。

直読直解の力がついてくると、ニュース記事や洋書、映画の字幕など、生の英語に触れたときの理解力が飛躍的に向上します。

4-3. 単語や文法が“感覚”として定着する

単語帳や文法書を使った学習では、どうしても「頭で覚える」ことが中心になります。

一方、多読では、何度も似たような単語や文法に出会うため、「あ、またこの表現が出てきたな」という自然な気づきが生まれます。

たとえば、“used to”や“would often”といった過去の習慣を表す表現は、教科書で覚えるよりも、多読で繰り返し見かけることで無意識に使える感覚が育っていきます。

このようにして、多読は単語や文法の定着においても非常に強力な効果を発揮します。

4-4. 英語長文への心理的な抵抗が減る

英語の長文を見るだけで「うっ…」と苦手意識を感じてしまう方は多いのではないでしょうか。

これは、長文に対する“慣れ”が不足しているからです。

多読を続けていると、英語の文章に毎日触れることになります。

その結果、英文のリズムや流れに慣れてきて、「英語の長文=怖いもの」という意識が薄れていきます。

実際、TOEICのPart7に取り組んでいた方が、「多読を1か月続けたら、以前ほど苦じゃなくなった」と話していたケースもあります。

つまり、多読は英語長文への心理的ハードルを下げる効果もあるのです。

4-5. 前後の文脈から意味を推測できる力が育つ

英語を読んでいて知らない単語に出会ったとき、すぐに辞書を引くのではなく、前後の文脈から意味を推測する力を使うと、読解力が大きく向上します。

この力は、単なる読解スキルではなく、語彙力・文法力・推論力の総合的な応用力とも言えます。

例えば、“The man scowled and slammed the door.”という文で、“scowled”の意味が分からなくても、怒った様子が伝わってきます。

こうした感覚は、多読でたくさんの表現に出会い、何度も類似パターンを経験することで、自然と育っていきます。

もちろん、最低限の単語力や文法知識は必要ですが、それを補ってくれるのが多読の良さでもあるのです。

4-6. まとめ

英語の多読が「効果なし」と感じられるのは、読み方や教材選びを間違っているケースがほとんどです。

正しい方法で続ければ、多読は英語学習において多くのメリットをもたらします。

読むスピードの向上、直読直解の感覚、単語・文法の定着、長文への耐性、文脈からの推測力……。

これらはすべて、試験だけでなく、実際の英語使用場面でも大きな武器となる力です。

「なんとなく読んで終わり」ではなく、意味を理解しながら多くの文章に触れることが、多読の成功のカギです。

5. 効果が出ない人向け:多読を再スタートするためのチェックリスト

「多読を始めたけれど、ぜんぜん効果を感じない……」という声は珍しくありません。けれど、それは多読そのものが悪いのではなく、やり方や準備に原因があることがほとんどです。ここでは、多読でつまずいた人が再スタートを切るための具体的なチェックポイントを紹介します。1つずつ見直すだけで、驚くほど読めるようになることも多いので、丁寧に確認していきましょう。

5-1. まずは語彙力・文法力が基準値に達しているかを確認

英語の多読は「やれば伸びる」とよく言われますが、実は語彙力と文法力が一定レベルに達していないと、効果が出にくいのです。文章の意味がぼんやりしか理解できない状態では、読み進めても内容が頭に残らず、英語力は伸びません。

目安としては、TOEICで400点以上、または英検準2級程度の文法・語彙力があれば、最低限の土台はできています。もしそのレベルに達していないなら、まずは文法書や単語帳(たとえば『キクタン』や『Grammar in Use』など)で基礎固めをしましょう。

また、CASEC(キャセック)というオンラインテストを活用すれば、自分の英語力を正確に測ることもできます。英語力の現状把握は、多読再スタートの第一歩です。

5-2. 自分に合った教材レベルの選び方(例:ラダーシリーズ、GR)

多読を始めるとき、「ちょっと難しめの本で鍛えたい」と思いがちですが、それは逆効果になることが多いです。おすすめは自分のレベルより“少しやさしい”本を選ぶこと。この「背伸びしない選び方」が、多読を続ける秘訣でもあります。

特に初級者に適しているのが、ラダーシリーズGR(Graded Readers)です。ラダーシリーズは、TOEICスコアや英検級に応じてレベル1〜5に分類されており、たとえばレベル3は「TOEIC400点以上・英検準2級以上」が目安となっています。

また、GR(Penguin ReadersやOxford Bookwormsなど)は、語彙制限がされており、初級〜上級までレベル分けが非常に明確です。「辞書なしでも7割以上読める」教材を選ぶことで、内容理解がしやすく、学習効果が倍増します。

5-3. 理解度70%以上を目安に選ぶべき理由

「英語を英語のまま理解できるようになりたい」と考える人ほど、つい難しい本に手を出しがちです。しかし、内容理解が50%未満だと、多読の効果は激減します。

適切な教材を選ぶ基準として重要なのが、「理解度70%以上」というライン。これは、返り読み(何度も同じ文を読み返す癖)を減らし、前からどんどん読み進める「英語脳」を育てるために最適な割合です。

理解度が70%を下回ると、推測力も鍛えにくく、英語が「ただの記号の羅列」に見えてしまいます。それでは学習モチベーションも続きません。まずは、無理せずスムーズに読めるレベルからスタートすることが大切です。

5-4. 100万語をどう読むか?量と時間の現実的プラン

「多読は量が命」と言われるように、読む語数は非常に重要です。英語多読の成功者がよく目標にするのが「100万語」。でも、100万語と聞くと、まるで果てしない道に感じてしまいますよね。

たとえば、1冊3万語の洋書を1日30分で読む場合、1週間に1冊読むとして、約30冊で100万語に届きます。つまり、約2〜3か月の継続で100万語達成は可能なのです。

ポイントは、時間よりも“習慣化”。「寝る前の20分」「通勤中の10分」「休日のカフェで1時間」など、自分の生活に自然に溶け込むスケジュールを立ててください。

5-5. 続けるための工夫:ジャンル・場所・時間の最適化

多読で最も重要なのは「続けること」。そのためには、読むジャンル・場所・時間帯を工夫することが欠かせません。

まずジャンルについては、自分が「好き」と感じる内容を優先しましょう。ミステリー、ラブストーリー、ビジネス、ファンタジーなど、興味のあるテーマなら、多少わからなくても読み進めたくなります

読む場所も大切です。自宅で集中できないなら、図書館やカフェなど、気が散りにくい環境を選びましょう。また、「朝の通勤時間」「お昼の休憩」「寝る前のリラックスタイム」など、自分が自然と英語に触れやすい時間帯を見つけることが、継続のカギになります。

さらに、記録を取ることでモチベーション維持にもつながります。読んだ本の冊数や語数をノートやアプリで記録すれば、自分の成長が「見える化」されて、継続の励みになります。

5-6. まとめ

「多読に効果がない」と感じるとき、多くの場合は方法に原因があります。だからこそ、正しいチェックリストをもとに再スタートすることがとても重要なのです。

語彙・文法力の基準値を確認し、自分に合った教材レベルを選ぶ。そして、理解度70%以上を目安に無理なく読み進め、生活に多読を取り入れる工夫をする。

この5つのポイントを意識することで、英語多読は「つまらない努力」から「日々の楽しみ」へと変わっていきます。焦らず、でも確実に。今度こそ、多読を味方につけて英語力を伸ばしていきましょう。

6. 多読で効果を出すための“読まない工夫”も重要

英語の多読が効果を発揮するかどうかは、「どれだけ読むか」だけで決まるわけではありません。むしろ“読まない勇気”や取捨選択の感覚が重要なカギになります。読み飛ばしや本選びのコツを知っておかないと、「読んだのに効果がない」という事態になりかねません。ここでは、英語多読の中で“読まない工夫”がなぜ必要なのかを、具体的な観点から解説します。

6-1. 読まなくていい本を見極める基準とは?

多読と聞くと、「とにかくたくさん読めばいい」と考えがちです。ですが、読む価値のない本を無理して読む時間は、ほとんどムダになってしまいます。効果のある多読を実践するには、「今の自分に合っていない本」は潔く除外する判断力が必要です。

目安としては、読んでいて7割以上の内容が理解できるかどうかがひとつの基準です。競合記事でも触れられている通り、内容の半分以上が理解できないような難しい本を選んでしまうと、読解にストレスがかかり、効果も出づらくなってしまいます。

例えば、自分の英語力がTOEIC400点レベルであれば、ラダーシリーズのレベル2〜3あたりの教材が適しています。内容が難しすぎると途中で挫折しやすくなり、英語への苦手意識を強める結果にもつながるのです。

6-2. 「わからないところを飛ばす」にも限界がある理由

多読の基本として「わからない単語や文は飛ばして読もう」とよく言われます。たしかに、毎回辞書を引いていたら読み進めるスピードが落ち、多読にはなりません。しかし、飛ばしすぎる読み方には明確な限界があります

競合記事でも語られていたように、「半分以上飛ばして読んだ!」というレベルだと、多読の意味をなさなくなります。英語を読む力は「前後の文脈から意味を推測する力」によって鍛えられますが、そもそも文の8割近くが理解不能だと、文脈自体がつかめません。

つまり、「わからない箇所を飛ばす」のは、ある程度の英語力があってこそ有効な戦略なのです。もし読み飛ばしが多くなってしまうようなら、その本はレベルが高すぎると考えて、別の教材に切り替えた方が得策です。

6-3. 途中でやめる勇気も必要|教材を変える判断基準

多読を進めていると、途中で「なんだか全然頭に入ってこない」と感じることがあります。そんなときは、途中でやめる勇気を持つことが重要です。

「せっかく買ったんだから」「もう半分まで読んだし」などの気持ちで無理に読み続けても、その時間は「読んだ気になっただけ」で終わってしまう危険性があります。

教材を見直す判断基準としては、以下のようなポイントがあります。

  • 内容の7割以上が理解できない
  • 一文を読むのに時間がかかりすぎる
  • 読むたびにストレスや苦痛を感じる

これらに該当する場合は、その本が現在のレベルに合っていない可能性が高いため、スパッと切り替えるべきです。最初から読みやすいものを選ぶのはもちろんのこと、途中で違和感を覚えたら迷わず方針転換することが、長期的に見ると効果的な多読につながります。

特に、ラダーシリーズのようにレベルが明確に設定された教材を活用すれば、自分の成長段階に合わせて読みやすい本を選びやすくなります。

6-4. まとめ

英語の多読で成果を出すには、「読む量」だけでなく「読まない判断」も大切な要素です。自分に合わない教材を避ける、わからなすぎる箇所を無理に読まない、途中で見切りをつける——こうした工夫こそが、多読の効果を引き出す秘訣です。

読書という行為は、「正しく選んで、正しくやめる」ことによって、質が高まります。そしてその質こそが、リーディング力の向上や英語力の土台作りに結びついていくのです。

7. 成功者の声から学ぶ:多読の効果が出た人の共通点

多読をしているのに効果を感じられない…。
その一方で、「英語力が飛躍的に伸びた」と語る人もいます。
その違いは何なのか。
ここでは、実際に成果を出した人たちの取り組みや特徴を紹介しながら、「効果が出る多読のコツ」を一緒にひも解いていきます。

7-1. 2ヶ月で100万語読んだ社会人の事例(具体数値付き)

「2冊読んだだけでも頑張ったのに…」と思うかもしれませんが、本当に成果を出している人は“ケタ”が違います
ある社会人の方は、なんと2ヶ月間で30冊、合計100万語を読み切りました。
その読書にかけた時間は246時間57分。1日あたりに換算すると、約4時間以上を読書に費やしたことになります。

この方は、最初から難しい本を選んだわけではありません。
自分の英語レベルより少し易しい洋書を選び、スラスラ読める感覚を大切にしました。
この読みやすさが、「もっと読みたい!」という気持ちを引き出し、結果として大量のインプットにつながったのです。

また、この方は「とにかくたくさん読むこと」を意識していました。
多読とは、名前の通り「たくさん読む」ことが前提です。
この点で、2〜3冊しか読んでいない人と100万語読んだ人とでは、得られる成果に大きな違いが出るのも当然でしょう。

7-2. TOEICスコアに反映された読解力の変化

実際、多読を継続した人の中には、TOEICスコアに劇的な変化が現れた人もいます。
たとえば、先ほどの100万語読んだ社会人は、多読を始める前はPart7(長文読解問題)で時間が足りず、最後の問題は塗り絵状態だったそうです。

しかし、多読を通じて「英語を英語のまま理解する力」がついたことで、読み直しが激減。
時間配分に余裕が出て、全問を落ち着いて解けるようになったとのこと。
その結果、TOEICスコアも大幅にアップし、目標の800点台に到達できたそうです。

読み直し(返り読み)をしないで理解できる力、文脈から意味を推測する力、そして英語に慣れること
これらは、まさに多読が鍛えてくれるポイントです。

7-3. 継続のコツは「楽しい」と「ルーティン化」だった

どんなに効果がある学習法でも、続かなければ意味がありません。
成果を出した人たちの共通点として、「多読が楽しかった」という声が多くあります。
その理由は、無理に難しい本を読まなかったからです。

多読を習慣化するには、内容がわかる本を選ぶことが非常に大切です。
具体的には、7〜8割の内容が理解できるレベルの本
「理解できるから面白い」「面白いから続けられる」という好循環が、多読を支えてくれます。

さらに、成果を出した人は多読を日々のルーティンに組み込んでいました
たとえば、「朝起きてコーヒーを淹れたら30分読む」「電車の中で10ページ読む」など、生活の一部として読書をセットにするのです。

強い意志やモチベーションではなく、習慣の力で続けることができれば、自然と量も増え、英語力もついてきます。
続けることが最大の武器になるのです。

7-4. まとめ

多読で結果を出している人たちには、共通する3つのポイントがありました。

  • 理解できるレベルの本を大量に読む
  • 英語を英語で理解する感覚を養う
  • 楽しみながら、毎日の習慣にしている

「効果がない」と感じる人は、逆にこれらを実践できていないケースが多いです。
つまり、多読に効果があるかどうかは、やり方しだいなのです。
まずは1日15分でもOK。「楽しく読める本」から始めて、読書の習慣をつくることが、英語力アップへの第一歩になります。

8. Q&A:「多読に効果がなかった」人からのよくある質問

8-1. 「読んでるのに単語が覚えられません」→原因と対策

英語の本をたくさん読んでいるのに、なぜか単語が全然覚えられない。
この悩み、実はかなり多くの人が抱えているものです。
原因の一つは、「単語を意識して読んでいないこと」にあります。
多読は「流し読み」や「意味の推測」が重視されがちですが、だからこそ、単語の定着率はどうしても低くなりがちなのです。

さらに、多読をしている時間そのものが短い場合も要注意です。
たとえば、1週間でたった2〜3時間程度しか英語を読んでいなければ、インプット量が圧倒的に足りません。
100万語の多読を達成するには200時間以上を要するとも言われているように、単語を「覚える」には、まずは「目にする回数」を増やすことが必須です。

対策としては、以下の3つを意識すると効果的です。
1つ目は、「意味がなんとなくわかる単語」にマークをつけて、あとで確認すること。
2つ目は、「出てきた単語を推測する」練習をすることで、文脈からの意味理解力を養うこと。
そして3つ目は、「読んだ本の中から知らなかった単語を5〜10個だけ復習」するなど、小さな復習習慣を取り入れることです。

8-2. 「多読を続けてもTOEICの点数が伸びません」→学習のバランスを見直そう

多読をしているのに、TOEICのスコアがなかなか上がらないという声もよく聞きます。
この原因の多くは、「多読の比重が大きすぎる」ことにあります。
TOEICでは、語彙・文法・設問形式への慣れなど、バランスの取れた対策が必要です。

多読で得られるのは、長文をスムーズに読む力や語感、文脈での理解力です。
しかし、TOEICに必要な「設問のパターン理解」や「時間内に解く戦略」といった要素は、問題演習を通して身につける必要があります。
つまり、多読「だけ」ではTOEICに必要なスキルが揃わないのです。

おすすめなのは、1週間の学習時間の中で多読とTOEIC対策をうまく配分することです。
たとえば、週10時間の学習時間があるなら、多読6時間、TOEICのリスニング・文法演習4時間という形です。
また、自分の実力に合った英文を選ぶことも大切です。
目安としては、ラダーシリーズのTOEICレベル別ガイド(例:レベル2はTOEIC350点以上)を参考にしましょう。

8-3. 「辞書なしで読めと言われても無理」→正しい“飛ばし方”とは?

「わからない単語があるのに辞書を使うななんて…」と感じる人も多いでしょう。
確かに、初めてこのアドバイスを聞くと不安になるのは当然です。
でも大切なのは、「全部を飛ばす」のではなく、「一部を飛ばす」技術を身につけることなんです。

英語多読では、「7割以上理解できる本を選ぶ」ことが鉄則です。
内容の半分も理解できない状態で読み進めても、読解力は伸びませんし、何より面白くありません。
正しい飛ばし方とは、「重要ではなさそうな単語」や「前後の文脈で推測できる単語」は無視するということです。

例えば、「The old man sat on a bench in the park.」という文で「bench(ベンチ)」がわからなくても、文脈から「座った場所」くらいは推測できますよね。
このように、「完全に理解しようとしすぎない」ことが、多読ではむしろ重要なのです。
どうしても気になる単語があれば、後でまとめて調べるスタイルにすると、読みの流れを止めずに学習効率も高まります。

8-4. 「時間が取れません」→忙しい人向け・隙間時間活用術

「仕事や育児で忙しくて、多読に時間をかけられない」
そんな方でも大丈夫です。
実は、多読は「長時間集中」よりも、「こまめなインプット」が効果的なんです。

例えば、1回15分の読書を1日2回するだけでも、1週間で3時間。
1か月で12時間の英語読書ができます。
通勤時間や昼休み、寝る前のベッドの中など、スキマ時間を活用すれば、まとまった時間がなくても続けられます。

特におすすめは、スマホにKindleアプリや英語多読アプリを入れておくことです。
ラダーシリーズのような学習者向けの洋書を電子書籍で読めば、移動中にもサクッと読書ができます。
また、英文を「音声つきで聴ける」機能を活用すれば、耳からのインプットも可能になります。
これはリスニング力の向上にも直結します。

短時間でも「毎日触れる」ことが、言語習得には何より効果的。
1日10分でもいいので、まずは今日から読書習慣を始めてみてください。

9. 【まとめ】「多読=効果なし」を卒業するために今日からできること

9-1. 学習の全体設計を見直すことがカギ

英語の多読に取り組んでいるのに、「全然伸びてる気がしない」と感じている場合、それは単に“読む量が足りない”という問題ではないかもしれません。その原因の多くは、学習全体の設計ミスにあります。

英語学習は、単語・文法・リスニング・スピーキング・リーディングという複数の要素がかみ合ってはじめて、相乗効果を生み出します。たとえば、語彙力や文法力が不足した状態で難易度の高い洋書に飛び込んでしまうと、文の7割以上が読めずに内容が理解できない…という悪循環に陥ってしまうのです。

特に多読は「文法と語彙がある程度備わってからこそ、効果を発揮する学習法」です。基礎を飛ばして多読に進んでも、知らない単語だらけで挫折してしまったり、「何となく読み飛ばしてるけど、内容が頭に入ってこない」という状態になりやすくなります。

この問題を解決するには、まず自分の英語力を正しく測ることから始めましょう。TOEICのスコアや英検、あるいは「CASEC(キャセック)」などの診断テストで現在地を把握し、そのレベルに合った教材を使うこと。これが、効果のある多読を実現するための第一歩です。

9-2. 多読は“読む技術”ではなく“続ける技術”

「多読=速読」と思われがちですが、本質はまったく別のところにあります。多読とは、“読み続ける力”を鍛えるトレーニングなのです。

読書が習慣になっていない人にとっては、英語の長文をコツコツ読むこと自体が大きなチャレンジです。だからこそ、多読で一番大切なのは「スキルとしての読解力」ではなく、「習慣としての継続力」だと理解しましょう。

たとえば、多読の世界で有名な目標として「100万語読破」があります。実際に100万語読もうとすると、1日1時間以上の読書を2〜3ヵ月続けるようなボリュームになります。この量を達成するには、途中で投げ出さず、日々少しずつ読み続ける「習慣化」が不可欠です。

大事なのは「完璧に理解しよう」と思わないこと。文章の中で意味がとれない部分が出てきても、いちいち立ち止まらず、前後の文脈で推測しながら読み進めていく「割り切り」が、多読の世界ではとても大切なのです。

夏目漱石も「辞書を引かずに無茶苦茶に英書を沢山読むがよい」と言っていたように、完璧を目指さず、スピードと継続を重視する姿勢こそ、多読を「効果なし」から「効果あり」に変える秘訣です。

9-3. 英語を「読める自分」を目指して

最終的なゴールは、「英語を読むのが楽しい」と感じられる自分になることです。そのためには、「わからないから嫌い」「難しいから避けたい」という気持ちを乗り越えて、“読めるようになった”という実感を積み重ねることが欠かせません。

その実感は、ある日突然やってくるものではありません。簡単な英文からスタートして、「あ、今日はスラスラ読めた」「前より速くなった気がする」といった小さな成功体験を積み上げていくことで生まれるのです。

そのためにも、自分の英語力にあった教材選びがカギを握ります。たとえば「ラダーシリーズ」などの多読専用書籍は、レベル別にTOEICスコアや英検級が設定されているので、自分の実力に合った1冊を見つけやすくなっています。

読めば読むほど英語に慣れ、長文への抵抗も減っていきます。最初は「1冊読むのに1週間かかった」と思っても、続けていけば自然とスピードもついてくるでしょう。大切なのは、「多読で伸びない」と決めつける前に、学び方そのものを見直すこと

そうすれば、多読は単なる苦行ではなく、自信を育てる英語習慣へと変わっていきます。