1. 「宜しく」と「お願い致します」の使い方と各機関の基準
1-1. 「宜」は常用漢字ではないのはなぜ?
まず、「宜」という漢字についてですが、この字は「よろ」と読むことができません。「ぎ」としか読めないんです。そのため、文化庁の「常用漢字表」では「よろしく」とひらがなで書くことを勧めています。
でも、皆さんが普段使うメールやビジネスの場で「宜しく」と書いても、それは失礼にはなりませんよ。例えば、坂本龍馬も手紙に「宜敷」と書いていたそうです。ただし、公式な文書を作る時は「よろしく」とひらがなで書くのが一般的です。
1-2. 「お願い致します」と「お願いいたします」の使い分け
次に、「お願い致します」と「お願いいたします」の違いについてお話しします。文化庁の「公用文作成の要領」では、「致す」をひらがなで書くことを勧めています。
これは、他の言葉と一緒に使う時に読みやすくするためなんです。でも、これは公文書の場合の話で、皆さんが普段使うメールで「お願い致します」と書いても間違いではありませんよ。
「致す」は昔から「丁寧な動作」を表す言葉として使われてきました。否定的な意味はないので、安心して使ってくださいね。
2. 辞書に見る「致す」の意味と誤解について
2-1. 辞書での「致す」の意味
「致す」という言葉は、みなさんもよく使うと思いますが、実は敬語の一種なんです。特に、謙譲語といって、相手に敬意を示すときに使います。
辞書を見てみると、「致す」は「する」の謙譲語だと書いてあります。つまり、自分の行動を控えめに表現するための言葉なんですね。
面白いことに、「致す」には「心を尽くす」とか「全力で何かをする」という意味も含まれているんです。だから、相手に対して真剣な気持ちや頑張る姿勢を表すのにぴったりの言葉なんですよ。
例えば、広辞苑という有名な辞書には、こんな説明があります。
「〜を致します」「〜に致します」という言い方で、相手に何かをするときに使うと、自分の行動を相手に敬意を持って伝えられるんだそうです。
だから、「致す」には悪い意味はないんです。でも、最近インターネットで「致す」に悪い意味があるという誤解が広まっているようで、少し心配です。
2-2. 「〜の致すところ」という特別な使い方
ただ、「〜の致すところ」という言い方だけは、少し違う意味で使われることがあるんです。
例えば、「私の不徳の致すところ」とか「無知の致すところ」という言い方をすることがあります。これは、良くないことが起きた原因が自分にあると認めるときに使う表現なんです。
明鏡国語辞典という辞書では、この「〜の致すところ」について、こんな説明があります。
- ・自分の責任や欠点が原因で何か起きたことを認めるときに使う
- ・良くない結果に対して使うことが多い
でも、これは特別な使い方で、普段みなさんが使う「お願い致します」の「致す」とは全然違うんです。
昔から使われてきた「致す」の使い方が、今では「〜の致すところ」という形でだけ残っているから、こんな誤解が生まれたんだと思います。
だから、みなさんが日常で使う「お願い致します」の「致す」には、失礼な意味はありません。むしろ、「心を込めてお願いする」という良い意味が込められているんです。
3. 歴史から見る「宜しくお願い致します」
3-1. 江戸時代や坂本龍馬の手紙に見る「宜しく」
昔の人たちは、私たちとは少し違う言葉遣いをしていたんです。特に江戸時代から明治の初めごろは、今では見かけないような漢字や言い方を使っていました。
例えば、みなさんも知っている坂本龍馬という人が、1863年に書いた手紙があります。その中で龍馬は「宜敷(よろしく)」という言葉を使っていたんですよ。この「宜敷く」という言葉には、「心を込める」とか「敬意を示す」という意味が込められていたんです。
面白いことに、この「宜敷く」が後に「宜しく」に変わっていったんですね。でも、どちらも相手に対する挨拶として使われていたことは変わりません。
昔の人たちにとって、「宜しく」は正しい挨拶の一部だったんです。辞書を見ても、「宜しく」は当て字ではなく、ちゃんとした日本語だと書いてあります。だから、江戸時代から今まで、「宜しく」という言葉は自然に使われてきたんですよ。
3-2. 平安時代から変わってきた「致す」の意味
次に、「致す」という言葉についてお話しします。この言葉は、平安時代から今まで、少しずつ意味が変わってきました。
平安時代の頃は、「致す」は「結果をもたらす」とか「何かを引き起こす」という意味で使われていました。例えば、「〇〇を致す」というと、何かの結果を導くという意味だったんです。
でも、今では「致す」は謙譲語、つまり相手に敬意を表す言葉として使われることが多くなりました。「〇〇をさせていただく」というような丁寧な言い方をするときに使います。
文化庁という役所では、公文書を書くときは「いたす」をひらがなで書くように勧めています。これは、相手への敬意と分かりやすさを大切にしているからなんです。
ところで、「致す」には悪い意味があると思っている人もいるようですが、それは間違いなんですよ。辞書を見ると、「〇〇の致すところ」という特別な言い方をするときだけ、少し悪い意味になることがあるって書いてあります。
でも、ほとんどの場合は「心を尽くす」とか「一生懸命行う」という良い意味で使われるんです。だから、「宜しくお願い致します」という言葉には、相手を大切に思う気持ちがたくさん込められているんですよ。
このように、「宜しくお願い致します」という言葉は、昔から今まで、少しずつ意味を変えながら、大切に使われてきたんです。みなさんも、この言葉を使うときは、相手を思いやる気持ちを込めて使ってくださいね。
4. 「宜しくお願い致します」を使う場面とビジネスでの対応法
4-1. ビジネスメールでの「宜しくお願い致します」の使い方
「宜しくお願い致します」という言葉、みなさんもよく使いますよね。でも、最近では「正しくない」とか「失礼だ」という意見もあって、使い方に迷っている人も多いようです。
実は、この言葉は多くの会社で普通に使われています。ただし、使うときには気をつけるポイントがあります。
まず、「宜」という漢字についてです。この字は本当は「よろ」とは読まないんです。でも、「宜しくお願い致します」という言い方は皆さんよく知っているので、ビジネスで使っても問題ありません。
次に、「致します」という言葉です。これは謙譲語といって、相手を敬う言葉なんです。ビジネスメールでは丁寧さを出すために使います。
そして大切なのは、メールをもらう相手に合わせることです。相手が「よろしくお願いいたします」と書いているなら、そのように書くと丁寧に見えます。でも、あまり形式張らない相手なら、「宜しくお願い致します」でも大丈夫です。
4-2. 他の敬語表現との比較
「宜しくお願い致します」以外にも、似たような言い方がいくつかあります。状況や相手によって使い分けると、より良い印象を与えられますよ。
例えば、「よろしくお願い申し上げます」という言い方があります。これは「宜しくお願い致します」よりもっと丁寧な言い方です。大切な案件や、目上の人に使うとよいでしょう。
「何卒よろしくお願い致します」という言い方もあります。「何卒」は「どうか」という意味で、特に強くお願いしたいときに使います。
「どうぞよろしくお願い申し上げます」は、少し柔らかい感じの言い方です。社内の人や、あまり堅苦しくない相手に使うとよいでしょう。
このように、場面や相手によって言い方を変えると、より適切で丁寧なコミュニケーションができます。みなさんも、状況に応じて使い分けてみてくださいね。
5. 「宜しくお願い致します」は失礼なのか?
実は、この言葉は全然失礼ではありません。でも、インターネットで「失礼だ」とか「間違いだ」という話を見かけることがあるんです。これは本当は「嘘マナー」というものなんですよ。
5.1. よくある誤解と「嘘マナー」の広まり方
どうして誤解が生まれたのか、主に2つの理由があります。
1つ目は、「宜しく」の「宜」という漢字についてです。この漢字、実は「よろ」という読み方が正式には認められていないんです。だから、新聞や会社のメールでは使わないことが多いんですね。
2つ目は、「致す」という言葉についてです。この言葉には「よくないことを引き起こす」という意味もあるから、使わない方がいいと思っている人もいるんです。
でも、これらは全部誤解なんです。「宜しく」は昔から使われてきた言葉で、失礼な言葉ではありません。「致す」も、「心を込めて何かをする」という良い意味で使われているんですよ。
こういった誤解が広まったのは、インターネットやSNSの影響が大きいんです。2016年くらいから、「宜しくお願い致しますは失礼」という記事がたくさん出てきて、それが「マナー」だと思われてしまったんですね。
5.2. 具体的な例で見てみよう
では、具体的な例を見てみましょう。
会社のメールでは「よろしくお願いいたします」とひらがなで書くことが多いです。これは「宜」という漢字が正式な読み方と合わないからなんです。でも、普段のメールで「宜しく」と書いても全然失礼ではありませんよ。
辞書を見ると、「致す」には確かに「よくない結果を引き起こす」という意味が書いてあります。でも、これは「〜の致すところ」という特別な言い方をするときだけなんです。「お願い致します」と言うときは、全然そんな意味はありません。
公文書では「お願いいたします」とひらがなで書くことが多いです。これは文化庁が決めたルールに従っているからなんです。でも、普段使うときは「お願い致します」でも全然問題ありません。
このように、「宜しくお願い致します」が失礼だという考えは、ほとんどが誤解から来ているんです。実際には、正しい敬語表現として使えるんですよ。
言葉の使い方って、時々誤解されることがありますね。でも、本当の意味を知ることで、正しく使えるようになります。
6. 正しい使い分け:TPOに応じた「宜しくお願い致します」と他の表現
6-1. 場面別の「宜しくお願い致します」と他の表現の適切な選択
「宜しくお願い致します」という言葉、みなさんもよく使いますよね。でも、場面によっては他の言い方の方が適切なこともあるんです。どんな場面でどんな言い方をすればいいのか、一緩に見ていきましょう。
ビジネスメールでのやり取り
会社のメールを書くときは、「よろしくお願いいたします」とひらがなで書くことが多いですね。「宜しくお願い致します」は少し堅い感じがするので、大切なお客様に信頼感を与えたいときに使うといいでしょう。もっと丁寧にしたいときは「お願い申し上げます」という言い方もありますよ。
口頭での依頼や指示
直接話すときは、「よろしくお願いします」くらいの簡単な言い方で十分です。あまり難しい言葉を使うと、かえって堅苦しく感じられてしまうかもしれません。
稟議書や公式文書での使用
会社の大切な書類を書くときは、「お願い申し上げます」や「どうぞよろしくお願い致します」など、丁寧な言い方を使いましょう。特に多くの人が読む可能性がある文書では、きちんとした印象を与える表現が適していますよ。
6-2. 相手の立場に応じた使い分け方法(上司・取引先・同僚)
次に、誰に対して話すかによって、どんな言い方をすればいいのか見ていきましょう。
上司への依頼や報告
上司に対しては「宜しくお願い致します」を使うと、きちんとした印象を与えられます。でも、「よろしくお願いいたします」でも十分丁寧ですよ。上司がどんな言い方をしているか注意して、同じように言うのも良い方法です。
取引先や顧客への対応
お客様や取引先の方には、「お願い申し上げます」や「どうぞよろしくお願い申し上げます」など、もっと丁寧な言い方を使いましょう。特に初めて会う人や大切な場面では、最大限の敬意を示す言葉を使うことで、相手に安心感を与えられます。
同僚やチームメンバーとのやり取り
一緒に働く仲間には、「よろしくお願いします」くらいの言い方で大丈夫です。あまり堅苦しくならない程度に、適度な敬意と親しみやすさを示すことで、スムーズにコミュニケーションが取れますよ。
みなさん、いかがでしたか?場面や相手によって言葉遣いを変えることで、より良い人間関係を築くことができます。これからも状況に応じて適切な言葉遣いを心がけてくださいね。
7. 漢字と敬語表現の正しい理解が与える印象
7-1. 公用文とビジネス文書での敬語表現の影響
公的な文書やビジネスの文書を書くときは、失礼のない表現を使うことが大切です。同時に、読みやすくて分かりやすい文章を心がけましょう。
例えば、「宜しく」という漢字の使い方ですが、実は公的な文書では「よろしく」とひらがなで書くことが推奨されています。これは、「宜」という漢字が「ぎ」としか読めないからなんです。
また、「致します」という言葉も、公的な文書では「いたします」とひらがなで書くことが多いです。でも、会社の文書では、その会社のルールに従って使い分けることが一般的ですよ。
公的な文書のルールは、誰が読んでも分かりやすいようにするためのものです。でも、ビジネスの場では、必ずしもそのルールを守る必要はありません。相手の好みや会社の文化に合わせて、適切な表現を選ぶことが大切です。
7-2. 読み手に配慮した書き方とその効果
「宜しくお願い致します」という言葉を、相手のことを考えて使うと、ビジネスでこんな良い効果があります。
まず、信頼関係を築くことができます。正しい敬語を使うことで、相手への敬意が伝わり、お互いに信頼し合える関係になりやすくなります。
次に、スムーズにコミュニケーションが取れるようになります。相手が読みやすい表現を使うことで、メッセージがきちんと伝わり、誤解が生まれにくくなります。例えば、「致します」と漢字で書くと少し硬い感じになりますが、「いたします」とひらがなにすると柔らかい印象になります。
最後に、良い印象を与えることができます。ビジネスでは、堅すぎず親しみやすい表現が効果的です。相手が読みやすく、気遣いが感じられる書き方をすることで、信頼できる人だという印象を与えられます。
正しい敬語表現を身につけることで、相手に良い印象を与え、スムーズにコミュニケーションが取れるようになります。「宜しくお願い致します」という言葉も、状況や相手に合わせて適切に使い分けることが大切ですよ。
8. まとめ:敬語を上手に使って、信頼関係を築こう
8-1. 「よろしくお願いします」を使うときのポイント
「よろしくお願いします」って、ビジネスでよく使う言葉ですよね。でも、使い方を間違えると誤解されちゃうこともあるんです。だから、ちょっとしたコツを押さえておくと安心です。
- – 「よろしく」の漢字について:「宜しく」って書く人も多いんですが、正式には常用漢字じゃないんです。でも、みんな普通に使ってるから、そこまで気にしなくてもいいと思います。ただ、かしこまった場面では「よろしく」って平仮名で書くのが無難かもしれません。
- – 「お願いします」の書き方:公式な文書だと「お願いいたします」って平仮名で書くのが正しいみたいです。でも、普通のビジネスメールなら「お願い致します」でも全然OKです。
- – 相手に合わせて使い分ける:「宜しくお願い致します」と「よろしくお願いいたします」、どっちを使うかは相手次第かな。すごく堅苦しい相手なら、平仮名の方が安全です。
8-2. ビジネスでの敬語で信頼関係を築く
ビジネスの世界では、言葉遣いって結構大事なんです。敬語をうまく使えば、相手との関係もグッと良くなりますよ。
- – 言葉選びのコツ:「宜しくお願い致します」と「よろしくお願いいたします」、どっちを使うかで印象が変わります。場面に合わせて選ぶのがプロの技です。
- – 柔軟に対応する:「これが正しい」って決めつけずに、相手や状況に合わせて言葉を選ぶのが大切です。例えば、相手が「宜しくお願い致します」って書いてきたら、同じ表現を使うと親しみやすさが伝わりますよ。
- – 誠実さが大切:敬語は丁寧に使うのが基本ですが、あまり堅苦しくなりすぎないのもポイントです。相手を大切に思う気持ちが伝わるような言葉遣いを心がけましょう。
敬語って、使い方次第で相手の印象がガラッと変わることがあるんです。自分の立場や相手のことをよく考えて、柔軟に使い分けることで、信頼関係が築けます。ビジネスでのコミュニケーションがスムーズになりますよ。